電気主任技術者と測定基準

電気主任技術者が読み解く「安全」の測定基準

電気設備の“健康診断”ともいえる各種測定。その数値の背後にあるリスクや意味を、私たちは読み解き、保安管理に活かしています。

1. 絶縁抵抗測定(メガ測定)

目的: 感電や火災の予防。電線や機器の絶縁が適正かを確認します。

  • 300V以下 → 0.1MΩ以上
  • 高圧機器など → 0.4MΩ以上

数値の低下傾向があれば、予防保全の観点で調査へ。

2. 接地抵抗測定

目的: 万一の漏電時、安全に電気を逃がす「アース」の状態を確認。

  • A種接地 → 10Ω以下
  • B種接地 → 150/IgΩ以下
  • C種・D種 → 10〜100Ω以下

3. 漏れ電流測定

目的: 通電中の機器で、絶縁劣化の兆候を非停電でチェック。

目安:50mA以上で注意。増加傾向があれば精密点検へ。

4. 保護継電器の動作試験

目的: 異常時に正確かつ迅速に遮断できるかを検証。

精密な設定確認が、事故の拡大防止に直結します。

5. サーモグラフィー診断

目的: 通電中の過熱箇所を赤外線で見つけ、火災を予防。

目安:50℃以上の温度差が要注意ポイント。

測定値は、設備からの“声”

私たちは、単なる数値ではなく、“変化のサイン”に目をこらします。