技術コラム・豆知識|大滝電気管理事務所

技術コラム・豆知識

キュービクルって誰?何?ポケモンじゃないんです!

駐車場や建物の片隅で、無口にたたずむ灰色の箱。それが、建物の電気を支える「キュービクル(高圧受電設備)」です。 6,600ボルトという“激アツ電圧”を、安全な100V・200Vに変圧し、ビル内へ供給する縁の下の力持ち。 変圧器、遮断器、避雷器などの装置がコンパクトに納まっていて、私たちの暮らしを陰ながら支えてくれています。

名前の由来は英語の「cubicle(個室)」で、別に進化しませんしモンスターボールにも入りません(笑) 私たち技術者は、この“心臓部”を定期的に点検し、「異常な熱はないか?」「音や臭いに違和感はないか?」を人間の五感と測定器でチェックしています。

キュービクルが元気だと、建物も元気。それを支えているのが、見えない安心の世界です。

電気主任技術者って何者?実は“町の電気番長”です

名前は堅いけれど、仕事内容はいたってシンプル。
高圧受電設備を“安全に・正常に”使い続けてもらうための、影の守り役。

電気主任技術者(通称:主任)は、法律に基づいて選任される国家資格者。 電験三種・二種・一種という区分があり、特に三種は多くのビル・施設で必要とされるプロフェッショナル資格です。

主任技術者の役割は多岐にわたり、 点検、異常の予兆の発見、各種届出の対応、緊急時の判断と対策…。 一言でいうと“町の電気番長”のような存在。

点検機器だけでは測れない異音・ニオイ・振動なども、経験をもとに察知し、 事故やトラブルを未然に防ぎます。まさに、“電気と会話する人”です。

年次点検はなぜ停電するの?その裏側に潜む電気の世界

「点検するなら止めないでやってほしい」—— そう思うのは当然ですが、実は“止めないとできない点検”があるんです。 それが、年に1度の「年次点検」。 内容はというと、絶縁抵抗・接地抵抗・継電器試験など、 通常運転中にはチェックできない内部や保護機能の確認です。 たとえば、ブレーカーって本当にちゃんと動くの? トラブルが起きたときに、予定どおり遮断する? その“動作確認”を行うためには、電気を一旦止める必要があるわけです。 一見地味な作業。でも、ここでミスが見つかれば“大事故を未然に防げる”ことも。 点検=安心の保険。ほんの数時間の停電が、1年間の安全に変わるんです。

漏電ブレーカーが落ちた!?その時あなたの家で起こっていること

ある日突然、家が真っ暗に! 「停電? いや、周りはついてる…」そんなときこそ、犯人は“漏電ブレーカー”かもしれません。 漏電とは、電気が本来通るべき回路から“逃げてしまっている”状態。 つまり「迷子の電気」がどこかにいるということ。 そのままだと感電や火災の恐れがあるため、 ブレーカーが「危ないよ!」と自動で電気を止めてくれます。 漏電の原因は、濡れたコンセント、傷んだコード、壁の中の劣化など様々。 プロの点検では、専用の測定器を使って「電気の迷子」を探します。 日常では見えないトラブル。でも、そこに気づけるのが点検のちからです。

絶縁抵抗ってなに?絶縁ってケンカ…じゃないよ!

「絶縁ってことは、もうあの人とは…」 いえいえ、電気の話ではありません(笑) 電気の世界の「絶縁」とは、 電気を“通さないようにする”ための大切な構造。 コードのまわりについてるビニールやゴム、あれが絶縁体です。 そして「絶縁抵抗」とは、どれだけ“通りにくいか”を測る指標。 高い=しっかりガードできてる 低い=漏れる危険がある!ということ。 この値を、点検では定期的にチェックします。 数字を見ただけで「この機器、そろそろヤバいかも…」と気づけるのが、プロの目線です。 ちなみに、絶縁が落ちると漏電が起きます。 つまりこの測定は“漏電の予防接種”とも言えますね。

技術者の“目線の先”はどこにある?点検で見ているもの

点検って、メーターを見て終わり?と思っていませんか? 実は違います。技術者の「目と耳と鼻と指」は常にフル稼働しています。 たとえば、焦げ臭いニオイ。これ、電気設備の“初期異常”のサイン。 耳をすませば、「パチ…」という音がするだけでも異常を示します。 設備の中には、電圧の変化で震える機器や、熱を持ちやすい接続部も。 触れずとも、赤外線カメラで温度をチェックしたり、目視での変色に気づいたり。
私たちは“見た目以上の情報”を拾い上げて点検しています。 つまり、数字と向き合いながら、現場と対話する。 それが“電気と話せる技術者”の仕事なんです。